小野小乃々

小野小乃々

「危ない」と縫い針までもうばわれて祖母は鳴らないレコードになる

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小野小乃々

冷凍庫にはあの人が置いてった初霜を抱くゴルゴンゾーラ

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小野小乃々

焼きたてのグリッシーニが押し黙る子のくちびるの戸を抉じ開ける

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小野小乃々

いつからか故郷となりぬ われが住む地をふるさとと呼ぶ子らのゐて

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小野小乃々

歩くのが遅くてひとり旅ばかりだった真水を抱く汽水湖

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小野小乃々

後悔をことばにすれば言い訳となり文月の雨降り止まず

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