広葉樹

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ふと聞こゆ 風のさやぎのせせらぎの 旅支度する夜のしじまに

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垂乳根の母と仔わかるる追い分けにホエーのしずく名残り多しも(ヨーグルトの水切り)

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陽に浴びて日に日に萎む筆柿の未だ干なくに待ち難きかな

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馨しき黄金の花木を奇獣より名づけけること甚だ恐ろし

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絵に描いた餅は食えぬが絵に汁を掛けた奴らも食えぬと思う

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乗り遅れたり乗り過ごしたりして日々経つつレールに乗りて修学せり

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六曜と週間天気をかさね見て六十耳順の日柄を定む

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時として現るる虹は大空を覆うガラスの天井なれや

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水底に沈みしものの静寂はかつて起こしし波紋と覚ゆ

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重たげに揺れるぶどうは沈黙のなまめかしさが醸す暁闇(ぎょうあん)

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