
木村槿


完璧なあくびが出た日、午後休で帰ってしまおう花を片手に

前をゆくリュックサックが開いている花束入れてわらわせたいよ

これが火か炎なのかを決めるのはぼくだったのだ ばかでかい月

体温をふたりで分けあいつつねむる聖書の紙のうすさが好きよ

拭くとこがないくらい雨に降られて笑っちゃったらきみの勝ちだよ

生きることは絶えず麦茶を沸かすことふたりでいてもひとりでいても

隣人を愛せよなんてアパートに住んだことないだろうイエスは

パンジーを花壇へ植えかえるひとは子犬のあごをなでるやさしさで
