梅鶏

梅鶏

叱るでも怒るでもなく無視をして重力の増す部屋にしていた

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梅鶏

子は傘を持たないで行く濡れるより嫌なことなど山ほどあって

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梅鶏

張り紙を一枚貼って終わらせるシャッター商店街もまだ夏

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梅鶏

着るまでは気づかずにいた虫食いのように理由を子は語りだす

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梅鶏

幼子は「今日ね、今日ね」と喋りだす真夏の土の匂いをさせて

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梅鶏

黄泉からの光もたまにあるだろう夜がどこでもドアをひらけば

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梅鶏

子に敢えて願いを込めぬ名を渡す負けを一つは減らせるように

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梅鶏

漏れちゃう、と子は炎天の渋滞を途端に時限爆弾にする

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梅鶏

兄という資格を貰う吾子の手のさするお腹のあたたかきこと

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梅鶏

抱きしめた過去を手放すようにして素麺の帯は広がってゆく

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