森山緋紗

森山緋紗

水墨のようなる眠り此処からは朝の岸までひとりで泳ぐ

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森山緋紗

魔女たちは箒を捨てて明け方のドライブインで海を見ている

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森山緋紗

ものがたり絶やさぬようにパンくずをひとつ残らずついばむ小鳥

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森山緋紗

水時計満ちてゆくようゆるやかに私のことを忘れゆく母

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森山緋紗

夢のなかゴンドラ淡く燃えていてやさしい人から飛び降りてゆく

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森山緋紗

液晶にわたしを泳がすゆびさきが音叉となって海鳴りを呼ぶ

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森山緋紗

蓮の葉をすべる一滴こころとはマトリョーシカのごとき重なり

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森山緋紗

飛行機の真白い腹を見送ってダッシュボードに四本の足

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