満月しじま    満月しじま
            満月しじま    
            満月しじま    しめやかに唇(くち)を重ねた 豪雨にて隔絶されたような小部屋で
            満月しじま    早緑は梅雨踏み越えて濃緑となる 若者よ負けんじゃねぇぞ
            満月しじま    この家に俺だけひとり遺されて 澄んでいたはずなのにな空は
            満月しじま    この海の美しきもの見逃さぬように歌集はゆっくりめくる
            満月しじま    筆入れの中に消しゴムだけがない忘れたいことばっかりなのに
            満月しじま    ひとつぶも上白糖のない家で離婚届は書かれています
            満月しじま    「回り道にも花は咲く。だからもうちょっとゆっくり歩きませんか」
            満月しじま    素直さという名の糸があったなら紡げたはずの愛の詩、夏
            満月しじま    