満月しじま    満月しじま
            満月しじま    
            満月しじま    少しずつ風化してゆくあの夏に油性のペンで書いた恋情
            満月しじま    あぁ、いくら洗濯物がたためても心のたたみ方は知らない
            満月しじま    月も星も誰もいない今夜だけただの男と女になろう
            満月しじま    半分に割られし桃を君と食むときしずしずと積もるしあわせ
            満月しじま    歌姫が「あ」の一音で染めあげる初夏の朝空 恋がはじまる
            満月しじま    心から生まれこぼれるものだから涙は詩だよ 我慢しないで
            満月しじま    誰の名をなぞっているの やわらかく光るピアノを弾くその指で
            満月しじま    はつ夏のひかりを帯びる日記帳 たったひとつの「五月」の文字で
            満月しじま    