
羹鱠


またひとつ おひ叶ひたし 夢の路を 月の雲居に とり添へむかな

無垢纏ひ 空にうつぶく 月あれば 焦がれる蓮の 花とや見らむ

鳴き涼む 夜風も虫も なにせんと 漂ひみつる 蓮の月影

さくあれと 咲きぬ思ひを 君しらず 野にひめまたむ あくとなすまで

宵涼み 床に入る間も ただ案ず 枯れて寂しき わが思ひかな

朝日さへ 避けむと籠る 心にも 身にも光明 あるも叶はじ

ふる森に あな色めかし まつ文に ましろの手毬 君にあるかな

君ありて 花散りぬるを 今と知り 咲くも短し 泣く暇もなし
