鞘森天十里 鞘森天十里
鞘森天十里
鞘森天十里 鞍はづし湯気立ちのぼる裸馬バケツに汲みし水飲み干しぬ
鞘森天十里 満開の枝垂れ桜に隠るごと命削りて老梅の咲く
鞘森天十里 どんな表情(かお)明日は見せてくれるかな遊び疲れて寝る元保護猫
鞘森天十里 届きたる松阪牛の包み開け牛の名書かれたるを見て苦(にが)し
鞘森天十里 厚き雲に赤味をほんのり足したなら桜の森に見えないだろうか
鞘森天十里 止まりをる桜の下のパトカーは花の開くを見守りたるか
鞘森天十里 春ぞ来る烏が新居と定めしはいざ咲かむとす桜の樹のうへ
鞘森天十里 きらきらし袴姿の乙女らは寂しさ埋めて明日へ闊歩す
鞘森天十里 