Coutarus ONAI

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伸びきったマスクの紐と離縁した人のことばは耳に優しい

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Coutarus ONAI

窓にまだ君の指紋の残りおり雨の消せない体温として

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Coutarus ONAI

肩車する児は「つき」へ行けと言う今を逃せば行けないだろう

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ウイルスに負けてもいいよ十字架の赤いネオンは月へ触れそう

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Coutarus ONAI

君へ貸す夜風の色のパーカーのフードのうちにはりつく桜

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心臓に毛が生えていて春風にそよげば君の町を歩ける

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郵便の投函のたび指先は世界のふちの春風を押す

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シャツにつく抹茶アイスの緑色 海から雨のはじまっている

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Coutarus ONAI

木蓮の花は開けり君の名は手話で言ふならこんなかたちに

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Coutarus ONAI

羽根つきの餃子の羽根を羽根もたぬ吾は箸もて音たてて割る

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