とみた律

とみた律

花びらのひとつひとつに声がする帰りの駅でひらく寄せ書き

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とみた律

負け知らずだった僕らの夏空を切り裂くように飛ぶホームラン

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とみた律

入口も出口も無くて不織布のマスクが落ちている遊園地

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とみた律

泳げなくても走ることならできる雪を見ながら齧るたい焼き

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とみた律

伏線が気になる本をめくるたび夜が静かに加速していく

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とみた律

古本に誰かが引いた青色の蛍光線に晴れ上がる空

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とみた律

波音を覚えたスーツケースから抱えきれない夏の想い出

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とみた律

花束を持つ青年とすれ違う誰かを思ふ春色の風

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とみた律

もう君は立つことのないキッチンに消えることないまな板の傷

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とみた律

砂浜で高く手を振る君を見てまた泳ぎだすより遠くまで

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