ただひとつ残った卵取り出せばひとりぼっちの卵のパック
題『ただ』 にて
昨日まで「お邪魔します」のきみの部屋今日からわれも「ただいま」と言う
題『ただ』 にて
父の部屋掃除に入り隅っこに残ったままの硬き爪踏む
題『自由詠』 にて
母見舞う 面会した日はカレンダー日付に丸がつけられており
題『自由詠』 にて
窓越しにいつも見ていた柴犬が昨日我が家の一員となる
題『窓』 にて
「戦争はいけないよね」と『窓ぎわのトットちゃん』を読む子が涙ぐむ
題『窓』 にて
水色や青がベースのネイルして爪から夏を先取りしてる
題『爪』 にて
リビングで泣き伏すわれの肩口を爪を隠して撫でる飼い猫
題『爪』 にて
終電に忘れられてる雨傘が垂らすしずくが涙のようで
題『傘』 にて
われのこと濡らさぬように傘をさすきみの右肩いつもずぶ濡れ
題『傘』 にて
コメントをもっと読み込む