ベランダで天を仰いで死ぬ蝉の出会いをつかみそこねた手足
題『夏(テーマ詠)』 にて
もう一度手紙をつめて海原へ出たいと願うシーグラスたち
題『海』 にて
ひとりだし六枚切りは食べ切れず冷凍室へ二枚をしまう
題『食』 にて
針を抜くときに血液サラサラを飲んでいないか確認される
題『確』 にて
今朝着いたプラムを洗うその人の後ろすがたを母は知らない
題『着』 にて
明るめの髪のせいかなまた今日も袋はあるかレジで聞かれる
題『自由詠』 にて
Tシャツが裏返しだと気づくけど出かけないから知らせずにいる
題『気』 にて
また少し小さくなった印象のつぶあんぱんをふたつ取る母
題『印』 にて
掃除してくれる誰かがいるような何時も奇麗なあのひとの部屋
題『部』 にて
慰めになんてならないあなたから全部嘘だと夢で言われて
題『部』 にて
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