心臓を見るやうにして毒蛇ぢやなくメドゥーサの目を見たかつた
題『目』 にて
目覚めたる二時に「いいね」の返信の届きてかなたに灯台はある
題『いいね(テーマ詠)』 にて
珍しく笑つて見えて写真からこぼれたこゑを辿つてゆけり
題『真』 にて
説明を尽くすあなたの喉もとにくづれはじめた土壁がある
題『喉・のど』 にて
日蝕の世界にゐたい休日の朝を思ひて買ふサングラス
題『めがね(テーマ詠)』 にて
このままぢや喧嘩になると思ひつつ拭いても拭いてもレンズは曇る
題『めがね(テーマ詠)』 にて
どのビルも冬のひかりの通し方してゐてけふは車窓に見入る
題『自由詠』 にて
両耳を真白き馬が駆けぬけて代表曲の予感しかなし
題『馬』 にて
何度目の朝陽だらうかけふもまた一念発起させられてゆく
題『一』 にて
蛇腹折りの書物が風にひらかれてゆきたるやうに歳月の過ぐ
題『歳』 にて
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