秘めごとと知られぬやうにカーテンに白きからだを巻き取らせゆく
題『カーテン』 にて
冷静な冬の底から育ちゆき水牛の角になりたる怒り
題『角』 にて
わづかでもノイズを増やしたくなくて水道水を沸騰させる
題『水』 にて
だめな雪、だめぢやない雪この道を覆ふくらゐのプライドはある
題『雪』 にて
前任のひとのロープに繋がれて抱へきれないほどの備忘録
題『忘』 にて
一輪のやうなからだを守るには追ひ風さへもあなどれなくて
題『風』 にて
顔の中にスケッチブックをしのばせる今は誰にも言へないことの
題『今』 にて
見てゐないやうに見てゐる本戦の底にひしめく無数の糸を
題『本』 にて
もうここに来なくていいと気づきたり生暖かき視線に触れて
題『自由詠』 にて
をぢさんが「冬」といふ字を学びをり刺繍を縫ひとるやうに何度も
題『学』 にて
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