砂と灰の見分けがつかずどこまでも追ひかけてくる記憶の粒子
題『まで』 にて
花筏そつと見送る子がねむる部屋のとびらを閉めゆくやうに
題『とびら』 にて
自販機は夜の嘘つき灯台の白きひかりに擬態してゐて
題『嘘』 にて
偽物とわかる造花を選びたりじつくり味はふ風味のやうに
題『風』 にて
サーモスの断熱マグを買つてきて社の現実に蓋をしてゆく
題『実』 にて
諦めたひとは引きずりおろされて眠れぬ夜に見る鳥瞰図
題『鳥』 にて
わかるまで繰りかへされるやはらかな語尾のやうなりガス灯の火は
題『語』 にて
剥がれゆく鱗のやうに喧嘩するたび言葉は足りなくなりぬ
題『足』 にて
煙突のさきのちひさな火のやうに卒業の日を思ひ出したり
題『卒業(テーマ詠)』 にて
こころばかり転々として郊外の国道沿ひのおなじ看板
題『転』 にて
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