この街は夜がうるさい 豪雨後のサッカー場の芝生をおもふ
題『サッカー(テーマ詠)』 にて
あてもなく歩けど服をざばざばと洗ひたくなる川に着きたり
題『川』 にて
すみずみにひかりを受けて指吸ひをやめたわが子のおほきな一歩
題『吸』 にて
独り居の夏の手引きに加へたり熟れゐる桃を切る感触を
題『手』 にて
夏の日の長さを思ひだすときのゆふやみが顔をとほざけてゆく
題『夏(テーマ詠)』 にて
夏風邪のやうな孤独と散歩する楽しく飲んだあとのやさしさ
題『夏(テーマ詠)』 にて
約束をひとつ潰して平日の白雨が肩から抱きしめてくる
題『雨』 にて
遮光板越しに眺めし太陽のつやつやとしていい卵なり
題『陽』 にて
夏休みの計算ドリルは解きやすくその問ひのごときみの相槌
題『宿題(テーマ詠)』 にて
病室に見舞ひに来たる友だちのまづ言葉から飛び込んでくる
題『来』 にて
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