鞘森天十里

届きたる松阪牛の包み開け牛の名書かれたるを見て苦(にが)し

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鞘森天十里

止まりをる桜の下のパトカーは花の開くを見守りたるか

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鞘森天十里

春ぞ来る烏が新居と定めしはいざ咲かむとす桜の樹のうへ

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鞘森天十里

広口のカップを置く貴方が微笑む赤味帯びる琥珀揺れ花の香

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中原鼠栞

ね?と問うと、ぽつりぽつりとこだまする。逆さの闇と、ランタンと雨

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恋子

蕎麦を打つ禅するように粉を見つめ問答無用の手打ちの仕上げ

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パパ猫

困難も受けいれましょう死ぬるまで幾つもの春生きて行かんと

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みゆきち

泣く背中代わってやるのは違うから黙って握るおむすびを置く

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だいだい

ヴィオレッタのアリアは昇るどこまでもついていきます中年の耳

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澄水

警官を喰わせているは泥棒で福祉医療も利用者ありき(ルパン無しでは銭形生きず)

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