秋鵠空(さとあき)

抜け手綱期するは晴れの二鳫紋 彼に乗れば「春過ぎ夏闌けぬ」

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中村まふゆ

叶わない願いでしょうか目薬がひとつも上手く落ちてくれない

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麻衣

目が数字、手がキーをただ追う午後に君の雑学思い出してる

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袴田朱夏

はつなつのバレエスタジオひかりには手足がなくてかわいそうだね

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紺野水辺

たぶんもう会えないけれど「またね」って手を振るときに吹いていた風

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中村まふゆ

聞いていた話と違う初恋の香りは錆びた手すりの匂い

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秋鵠空(さとあき)

洋傘で黄昏水に奏でる春は 手中に菫が育てる空は

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秋鵠空(さとあき)

洋日傘(パラソル)と椅子を手高く帰る春 絵描く片手を吸い取る空は

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袴田朱夏

花 慈雨の手は昼下がり沐した詩 曇りが去る日、果ての氏名は

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秋鵠空(さとあき)

薄きむね 逆さの地平どこに、手に、弧と言へ血の差重ねむ奇数

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