赤月 宙

歯ブラシをくわえてひとり うずくまる わたし以外が真っ当である

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袴田朱夏

乳離れせぬ一歳を真夜に抱き妻うつくしく稜線と成る

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木村槿

真夜中に林檎の種を取り除く選ぶことってこんなに怖い

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野添まゆ子

ピュアそうな真白き雲のある空は大人みたいだ本音が見えない

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北大路真彦

磨硝子隔て冷たき幽霊を夏の真昼の光に透かす

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北大路真彦

寿司つまむ箸を両手に持ち替へて鬼の真似せし遺影の亡姉

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光恵

おはようと小学生に言う我は朝だけ教師の真似事をする

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袴田朱夏

天気予報の傘マークほど真っ青な傘がないので今日は休みます

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土居 文恵

真っ白なシーツの上で眠る人々を束ねる神のホチキス

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入瀬

触れずともわかりたかった 真夜中に浸った花瓶は透明ですか

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