 茶熊さえこ
            茶熊さえこ    立
 茶熊さえこ
            茶熊さえこ     青い
            青い    まだ誰も 起きない朝に 匂い立つ 雪に紛れて 山茶花が呼ぶ
 sail
            sail    靴紐を結ぶフリして立ち止まる あなたの背中が見えなくなるまで
 たろりずむ
            たろりずむ    恐竜の足跡をさがす鑑識の今立っている場所が足跡
 瓜野櫂
            瓜野櫂    眠剤を飲んで効くまでの魔のときよ 小さな死に立ち向かうとき 独りね
 ふにふにヤンマー
            ふにふにヤンマー    血の色を重ね立ちゐる鶏頭の先の彼岸に子規は微笑む
 だいだい
            だいだい    惑星の代表として立ち上がり奪い尽くすやホモ・サピエンス
 一色凛夏
            一色凛夏    赤本の売り場で一人立ち尽くすほんとは全部どうでもよくて
 ふにふにヤンマー
            ふにふにヤンマー    寒水にひた柳葉を研ぎゆけば雪げどもなほ鉄の香の立つ
 ふにふにヤンマー
            ふにふにヤンマー    