恋子

車窓には濡れて緑の濃くありて故郷弔う土佐路の情緒

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うしめ

山一つ覆い尽くして葛の葉は何も語らぬ 通学路跡

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さくら大根

まっすぐに走る道路と街路樹を吸い込んでゆく夏空近し

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恋子

喧噪を避けて嵯峨野路恋の道祭り八坂の大吉神籤

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さくら大根

灰色の雲の向こうは明るくてまだ降らないでと家路を急ぐ

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恋子

十代の恋はほのぼの子の事情三十路の恋は大人の事情

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うしめ

草刈りを終えて水路に吹く風を胸元に入れ「ふう」と声だす

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恋子

慟哭の恋の末路の惨めさの戻す頁のただの残酷

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茶々丸

ケロケロと蛙は鳴くや帰り路曇天見上げて急いで歩く

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恋子

夏至と聞き整備を急ぐ天の川ほっときゃいいのに他人の恋路

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