恋子

恋子

初夏の候絵手紙なんぞ企んで枇杷の絵描けば里の日遠く

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恋子

春風に嫁いでもう半世紀初夏の風吹く遠き恋便り

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恋子

傘の花咲いて洗濯ベランダの風の匂いやでんぐり返し

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恋子

手を伸ばし抱っこ求めるおさなごのぷよぷよお尻ぐにゅぐにゅ笑顔

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恋子

がまんして涙ぷっくり膨らんで背伸びはやめて母をまさぐる

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恋子

さみだれに一筆啓上わたくしの心崩れて乱れて焦れて

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恋子

この人と家庭はままよ生きるため別腹あれば別胸とても

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恋子

まだ恋を生きた証と窓伝う滴のように老いも刹那と

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恋子

胸焦がれ尖った炎も老いのきて丸みを帯びて恋のともし火

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恋子

うたた寝や軒端のしずく夢の跡恋ぞ虚しや無限を生きて

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