
秋鵠空(さとあき)


春遙けし柔らかな陽よ咲いた謌 いざよひながらはや繁る春は

戻れ今朝いちに書く名のいく果ては 悔いの泣くかに 小さけれども

煮えるだにあるか無きかに残りをり この苦き仲疑似餌(ルアー)似たる縁(ゑに)

恋丸く帯解く仲は眠りをり 胸はかなくと日を繰る迷子

求めしを 幾歳を経し言の葉の 常しへを是と悔い惜しめとも

水面来る月急かすかな潮白し 星流す風来つる雲波

彦とすら儚き仲は悲しかし 汝が儚き名変はらずと恋ひ

人果てば問ひにてのみや 玉の緒のまた闇の手に人果てば問ひ
