七番目に生まれたらしい子がらすと見つめ合いつつ陸橋下る
題『七』 にて
学生が追い越しシャツがはためいて青春が帆を張るように飛ぶ
題『春』 にて
青空に向かって下る自転車は湿度追い越し夏掴みに行く
題『転』 にて
吊り橋に留まる蜻蛉は翅先を研ぎ澄まし青い風いなしている
題『橋』 にて
手のひらを結んで開く私は私のことを見てはいなくて
題『手』 にて
あだ名しか持たなかった頃教科書で知る 君と呼ばれ振り向く淡さを
題『君』 にて
兄いればこんな感じだったのかなとプラタナスの下雨宿りする
題『兄』 にて
梅雨空が空の輪郭覆ってもきっとあるとあの気持ち探してる
題『気』 にて
曇天に拳突き出し青色を掴んで湿気にぶつけたくなる
題『自由詠』 にて
窓開けて受け止めたのは砲丸のような湿気で 酷暑始まる
題『窓』 にて
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