お題 題『海』 お題 2023.11.29 ・投稿期間はお題発表から5日間!・短歌は投稿後15分間は編集が可能ですが、十分に確認の上、ご投稿ください。・トップページの注意事項をご確認のうえ、お楽しみください。
あまりにもあまりにも澄む君の目に映るくじらが海原をゆく
行商のお婆さんが風呂敷をほどけば満ちる海辺の匂い
オフィスにて海月の如く漂えばマンボウ顔で白ける上司
まだ若い母に連れられ海沿いの町で過ごした夏の永遠
はじめての海のにおいはもったりと記憶の中に重く残って
荒海を乗り越え着いた浜の上
黙って語る流木ひとつ
雲海が 谷に流るるあの山の
珈琲の香り 思い出す午後
海沿いのカーブ曲がりて見下ろせば白波空へ還る朝なり
朝陽射す空と海とが境なく緋色(あけいろ)に染むホテルの窓辺
冬の海寄せては返す波の音海鳥だけが聴いている音
君と行く海はなんだか荒れてたね俺の気持ちは穏やかなのに
どこまでも平らな海岸なんて無い。あのサンダルが揺らめく限り
この海に落ちた涙は雲となりいつか恵みの雨へと変わる
暗闇でたゆたいながら夢を見るシーラカンスはデボンの頃を
きた海の待ち人一人の駅舎窓
寂しく雨降り涙が流れて
富津岬先端に立ちその先のその先に見る対岸の生(せい)
戯れて渚に捨てた恋だもの片貝漕いで孤独の海路
どれだけの涙飲んだらこんなにもしょっぱくなるの教えて海よ
打ち寄せて波の花咲く冬の海引き込むように誘惑してる
青き空風が誘って白波に海は戯れ笑みこぼす我
海跨ぎ君の近くの砂浜に流れ着くのは君への便り
ペンギンが初めて海に飛びこんだ次はわたしの番だと思う
深海のように静かであったのか今際の際の君の静謐
荒海の逆巻くようなこの心 なれ寄り添いて凪とし給う
わたつみの懐深く母と知る潮はなみだかかくいだかれて
防人の海辺の貝のなきがらにわれもと想えふるさと恋し
防衛は 陸海空から宇宙へ ブラックホール 飲み込んでくれ
老いても老いても果てがない海いくつになっても老いは続く
来世には海月に生まれるのもいい水族館でふわふわ舞うの
濡れ袖を隠す飛沫があいをさす仰げや乙女三保の松原