しょうがいが あるかないかに かかわらず ふつうにいきたい それだけなのに
題『のに』 にて
消えそうな灯りの下で手のひらの思い出見れば微かなる哭 (こえ)
題『消』 にて
二度とない今日という名の残り香を楽しむように紅茶と檸檬
題『今』 にて
古書店の本の匂ひは過去からの贈り物だと背表紙が言ふ
題『本』 にて
誰にでも痛みはあるさブラックのコーヒー飲んでゆれるカフェイン
題『自由詠』 にて
逆上がり出来ずに一人学校の鉄棒ゆれるカラス鳴く空
題『学』 にて
学校のグラウンド駆ける青春を木陰で見てるゲーテの詩集
題『学』 にて
学校の近くの川面に投げ入れた小石と夢と昨日の自分
題『学』 にて
引き出しの奥に仕舞った写真立て机に据える一年一度
題『引』 にて
引き潮が 想い出たちを 連れて行く 震える浮標 満ち欠ける月
題『引』 にて
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