帰省する前夜 実家に連絡す 「替わって」と 向こうから姪の声
題『家』 にて
秋空に雲のペイント 美しき唯一無二の 模様を描(えが)き
題『雲』 にて
原爆の悲劇を戒める朝の 黙祷の鐘 八月の空
題『音(テーマ詠)』 にて
スマホ閉じ 夕涼みの風を招き 窓越しに見ゆ 泣き顔の月
題『泣』 にて
バスを降り 紅き白粉花(オシロイバナ)香る 蝉時雨と 夕涼みの月と
題『白』 にて
はかなくも落つ朱(あか)き花 文月の空の下 膨らむ柘榴の実
題『空』 にて
慣れぬ手の 姉に洗ってもらう髪 目に染みる泡 昔日の夏
題『泡』 にて
シャッターを切るたび形 変えながら ひらく花火の 彩る夜空
題『花火(テーマ詠)』 にて
蝉時雨 湯上がりの帰路 洗いたての髪を冷ます 追い風の夕
題『髪』 にて
後ろ足投げ出し ブロック塀の上 微睡(まどろ)みぬ野良猫 夕涼み
題『自由詠』 にて
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