うたの日

袴田朱夏

奥入瀬に光るみどりを佳しとする歳になつたと妻とわらひぬ

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袴田朱夏

はつなつの風とおりゆく図書館に風のおとだけ許されている

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袴田朱夏

生まれない命を命と呼ぶときの先生、曇り空がやさしい

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梅鶏

僕たちが砂をこぼして帰るからだんだん西に延びる公園

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袴田朱夏

陽が昇るまではふたりでなめる蜜くちびる切ったほうが負けだよ

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袴田朱夏

太陽にぎりぎり焼かれない距離で僕らはずっとこの星の黴

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袴田朱夏

デモのとき投げつけられる卵ってきちんと無精卵なんですか

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紺野水辺

たぶんもう会えないけれど「またね」って手を振るときに吹いていた風

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梅鶏

「大丈夫ですか」と問われ「大丈夫です」と答えた春の床屋で

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袴田朱夏

晴れちゃって洗濯しなきゃいけなくてパジャマで床を泳いでいます

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