うたの日

袴田朱夏

正解がないならぜんぶ正解だ夜風に飛んだ点Pに春

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袴田朱夏

それぞれの春を切り分け黒文字は懐紙にねむる二月の茶会

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甘森太一

ツナ缶を開ければちょっと脳みたい 脳を実際見たことはない

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甘森太一

私にも泣く人のいてぼんじりの串には四羽分の悲しみ

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袴田朱夏

十歳が二十歳に投げる全力の青いりんごの赤方偏移

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中村まふゆ

まだ春は不在でしょうか受話器からビバルディだけ聞こえる街で

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梅鶏

義実家は義父だけになり少なめの洗濯物は隅に片寄る

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甘森太一

コピペするように野原に広がっただいたい同じ高さの土筆

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梅鶏

マンボウの手話はやさしく手を重ね口は開けても開けなくてもいい

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梅鶏

まえうしろ我が子を抱え夕まぐれぬくき鎧は日に日に重く

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