明け方

明け方の熱く優しき抱擁の有効期限たった一日

月食のようにつかの間人生が交わっただけ二度はない日々

半月が昇りつづける明け方に月子と二人月見て眠る

明け方に遠い昔の夢をみる平気なふりはうまくなったよ

金平糖　散らばり粟立つ　明け方のサイレンと遊び　君滲みゆく

見上げれば風俗街の看板の時代感ずる明け方に立つ

片栗粉を輪ゴムでとめる明け方に吾も微かな白い息吐く

まだきみが潜在意識下ひそむこと突きつけてくる明け方の夢

玖嶋さくら

魔女たちは箒を捨てて明け方のドライブインで海を見ている

明け方を待たず静かに燃え尽きぬ一家心中未遂の車

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