袴田朱夏

袴田朱夏

春雷の落ちさうな雲立ち込めて乙女の声のなほ止まぬ庭

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袴田朱夏

この赤でもっとかわいくなるきみを知ってるぼくをきみが知ってる

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袴田朱夏

鶏頭の十四五本に急かされてひどくあかるく好きと告げたり

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袴田朱夏

僕たちを忘れていった宇宙風きれいごとならまだ残ってる

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袴田朱夏

散文では逃してしまう 雨の日にチーズケーキを焼くあたたかさ

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袴田朱夏

僕がもう信じていないそのことを信じて子らが募金箱を持つ

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袴田朱夏

花 慈雨の手は昼下がり沐した詩 曇りが去る日、果ての氏名は

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袴田朱夏

失恋でいらなくなったジンクスをこっそり砂糖漬けにして春

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袴田朱夏

奥歯までブラシの先を届ければ仕上げみがきは子との陽だまり

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袴田朱夏

子にもらうみろりのはっぱ二語の詩がやっと生まれたばかりのベンチ

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