二人静

これからはずっと同じ日誕生日７０違いの孫とばあさん

摩訶不思議母の生まれた秋口のその日を選び孫も生まれた

明け方の熱く優しき抱擁の有効期限たった一日

暁に小さき娘の夢を見てごめんねと抱くその子は五十路

穏やかな海に戻りて三日振り電車も通るとテレビ告げたり

どうせ死ぬと言われて始む書なれど戻り梅雨の日墨の香満ちて

我が日記17冊を遺された子のふりをして処分の儀式

吉凶で買う日を決めて店頭に並ぶ一人にサマージャンボ

桜島降灰メール今日もまた律儀に届き風向きを知る

その昔父にあげたる天眼鏡今婿殿が日々愛用す

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