雨露

やわらかな毛並みのぬくさに沈み込み肺いっぱいに愛しさを抱く

ねむたさに深く踏み込むやわらかな白の原っぱ赤い長靴

夜更け過ぎ冴えた月光身に浴びて眠りの町をふらと旅する

水底に沈む硝子が綺羅として瞳に突き刺さる黒の川縁

夢を見たざわめく木々と花の間に柔い陽だまり仔犬が独り

潮騒の揺らぎささめく声がする冷えた木陰と白いパラソル

微睡みがいつか崩れる日が来てもその時までは静かなままで

目についてやたら離れぬ空の色澄んだラムネと夏のひとひら

何もかも白く眩しく輝いて目を凝らしても何も見えない

気だるさに伏して甘える昼下がり烟る鈍色曇天の空

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