亡き父の名前を付けた柴犬が小さなしっぽ振る夏の庭
題『犬』 にて
日本語と異国の言葉の短冊がどれも願うは小さな平和
題『七夕(テーマ詠)』 にて
眠れずに泣く子を抱いて空見ればかすかに光る明けの明星
題『明』 にて
工場の油のしみた父の手は黒く大きくなお温かく
題『手』 にて
シャボン玉君に向かって吹いたけど風に流れて空へ消えゆく
題『君』 にて
唐揚げを競って食べる兄弟の笑顔まぶしき子ども食堂
題『兄』 にて
電話する勇気もなくて「177」天気予報を聞いてたあの日
題『気』 にて
爪音の響き優しき城下町明日は咲くらむ撫子の花
題『爪』 にて
ふるさとに家はもう無いでもきっと今日も咲いてる向日葵の花
題『でも』 にて
「ご武運をお祈りします」と言う顔で犬は見送るプレゼンの朝
題『武』 にて
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