七夕の短冊揺れる公民館幼い文字で「はれますように」
題『七』 にて
春分に蒔いた種から双葉出て並ぶ緑に心ほぐされ
題『春』 にて
久々の畳の部屋にに寝転べば過ぎゆく風に蚊取り線香
題『転』 にて
午後七時夕餉の匂いに急かされて帰る空には明るさ残る
題『明』 にて
本当は行っていたんだあの店に窓越しの君を目に焼き付けに
題『嘘(テーマ詠)』 にて
竜神よ鎮まりたまえ橋桁の際まで荒き水迫り来る
題『橋』 にて
今ほしい頭にぽんとのせられた父の大きな手の温もりが
題『手』 にて
土産のせ列車は向かうごとごとと君の待つ町 霧雨の降る
題『君』 にて
兄ちゃんの背中を追って原っぱへ何度も行った球拾いでも
題『兄』 にて
乗り換えの駅で電車のドアが開きホームに踏み出す熱気の海の
題『気』 にて
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