
小野りす


宣告ののちの生こそまぶしけれけふもわが身をめぐる血のあり

そののちに雨は降りたり地に在りし生者と死者のうへにひとしく

シーシキンの森あかるし星墜ちるやうにあなたを忘れてゆかむ

新大阪にきみを見送る泣くことの少なくなつたほそながき背を

みづいろのマーブルチョコを選りて食む 鳥だつたころに見た湖(うみ)のいろ

乳牛のまなこ愛(かな)しもゆつくりともの言ふひとと午後を過ごせり

空を恋ふすがたに立てりわたくしと樹形をさらす冬のけやきと

筆順をおぼえられない吾子の手がちからでゑがく馬といふ文字
