黄昏に「荒野のばら」弾く部屋より 時空を超えた音色響き立ち
題『時』 にて
マスカットを一粒口に頬張った叔母は健やか我は笑いて
題『口』 にて
登下校見守る如く白色の花ひとつまた ひとつ咲くサザンカ
題『色』 にて
月の夜に真っ赤な色の表紙開く 与謝野晶子を知りたくなって
題『色』 にて
叔母作るヨモギの草餅忘れ得ぬ から施設に行きたりすぐに
題『から』 にて
塾から帰ると啜るカップ麺 今は病に伏してる次男
題『次』 にて
秋空に揺れる花三つ八重桜 恥ずかしそうに葉の落つ枝に
題『重』 にて
真夜中にこうこうと射す月の光 前に進めと友のように言う
題『中』 にて
札幌のスープカレーを湯せんせし ほくそ笑みて行ったつもりで
題『自由詠』 にて
お義父さんの最期の言葉は「ありがとう」 吾の心でずっと光りて
題『最』 にて
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