過去がみな紙の月へと化したとて 眺めつづける死んでも僕は
題『でも』 にて
鬼嫁と笑うくせして愛妻家 スマホの中に鬼ばかりいる
題『家』 にて
踏まれども散らぬ花なる魂よ 解き放て我が武士(もののふ)を今
題『武』 にて
ひとひらの声が誰かに届くなら いいよね たとえ世迷言(よまいごと)でも
題『世』 にて
この毒を水で割ろうが同じなら 一気に呷(あお)って GO to HEAVEN
題『同』 にて
退屈に窓を眺める四時間目教室(へや)を彷徨う夏目漱石
題『自由詠』 にて
乗換えず帰れる街と聞いていた 娘に会いに39駅
題『娘・息子』 にて
きみは言う「石炭なんて知らないよ」 昭和の馬力 見も嗅ぎもせず
題『石』 にて
あなたから「米」と呼ばれる距離冷えて 僕は「ごはん」と呼ばれたい 湯気
題『米』 にて
いまここに確かにぼくはいるけれど確かな僕じゃないのも確か
題『ここ』 にて
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