
栢森エマ


新しき 白羽の君に ふく風を 遠きしるしと いづこぞ眺むる

相思ひ 君の食らひて 近けれど 逢ひあたはずと 彼方に住まはむ

あな恋し 寒しと求む わが身さへ 思ひぞ求むる 春過ぐれども

明けにけり 君の白羽の きよければ 影みし水も きよらなりけり

雪に咲く 森の椿に 添ふるなら 君にぞあはむ あけの晴れ衣

筆をとり 年の輪ひとつ また加え 君の歩みと ゆく我が身かな

鳴き涼む 夜風も虫も なにせんと 相居る君の 心にかかる

忘れじと 時ゆきにけり 白羽根を けふかぎりの わが身なるとも
