塩本抄

向いてない仕事を今日も終わらせてビール、お前もよくやってるよ

足もとの砂を攫つてゆく波を恋に喩へてしまうのですか

くるくるとブランコの鎖絡ませてあれは余計なひと言だった

お互いに肩の荷を下ろしカンガルー教室に吹く温かな風

はつ夏のひかりを混ぜた厚焼きの卵サンドをブランチとする

海沿いの道を選んで帰るとき小さな輪廻から解脱する

一日の終わりにひらく古い詩集　凭れる椅子はもうそれだけだ

とびきりのかわいいでしたチューリップ公園で見た誰かの君は

また明日会えるみたいに手を振ってバックミラーの桜が消える

ひょいひょいと渡るみんなを追いかけてずぶ濡れのまま飛び石に乗る

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