鞘森天十里

鞘森天十里

はたはたと花弁落ちたり木蓮の天が零せし慈雨に打たれて

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鞘森天十里

あの日から麻痺したまゝの指先でそっと奏でてみる「春よ、来い」

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鞘森天十里

地震(なゐ)ありて地図を取り出し見つめたるあの日の波を如何(いかに)か忘れむ

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鞘森天十里

広口のカップを置く貴方が微笑む赤味帯びる琥珀揺れ花の香

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鞘森天十里

火に懸かり口開けもがく蜆らの悲鳴を湯の立つ音がかき消す

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鞘森天十里

目の痒みくしゃみ鼻水鼻詰まり頭痛肌荒れ滅びよ杉よ

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鞘森天十里

人魂の如く闇夜に浮かびしは灯(ひ)の照らしたる白き木蓮

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鞘森天十里

ロケットの発射準備の既視感の正体はそうヱヴァンゲリヲン

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鞘森天十里

吾が肩に枕し眠る愛(めぐ)き猫腕(かひな)を伸ばし頬に触れくる

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鞘森天十里

手綱持ち鞍に跨り鎧踏む脛(はぎ)に感ずる温かき駒

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