遠き日の母の面影のこりたる還暦過ぎし姉の横顔
題『遠』 にて
新品のカーテン開ける朝7時部屋に飛び込む春のきらめき
題『新』 にて
ふるさとの友の名前を指で書く東京行きの「のぞみ」の窓に
題『指』 にて
古ぼけた手作り小屋の愛犬に飼い主ガチャのハズレを詫びる
題『犬』 にて
亡き父の最期の手紙あたたかい郵便屋さんどうもありがとう
題『職業詠』 にて
ゆっくりとホームに入る終列車北の国から白雪乗せて
題『入』 にて
少しずつ老いを受け入れ生きていく幸せを知る菜の花の町
題『街・町』 にて
故郷の想い出胸に詰め込んで菜の花の咲く家を巣立ちす
題『出』 にて
「死んでない。まだ生きてる」と言うように倒れし桜は花を咲かせる
題『死』 にて
ひと晩で散った桜の落としもの庭一面の白い花びら
題『落』 にて
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