塩本抄

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湯布院を真白く覆う雲海にふとため息の落つ豊後富士

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塩本抄

笹舟は海へ行けるか川底の藻草たなびく安曇野の春

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すき、きらいの狭間で散ったいくつもの花の痛みを抱えて生きる

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ソーダ水ひとくち飲めばひとときの星の住処であるこの身体

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平坦じゃない道をゆく人の持つ小さな鞄からアルフォート

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完全に水と油が混じりあうための台風なら恐れない

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ラジオから開花宣言が聞こえて君の街では散り始めたね

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かまくらを晴れ間に崩し雪はみな空におかえり或いは花に

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塩本抄

生喧嘩放送中のラジオ聴き齧る林檎の塩気がきつい

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塩本抄

こんなにも御社たちから祈られて可能性しかない春がきた

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