ミルの音粉の香りに朝の湯気 琥珀の誘いマグカップふたつ
題『朝』 にて
合鍵を添えて書き置くさよならと あなたが壊した心の鍵
題『書』 にて
手料理の夕餉の皿のさびしさに すきまに飾った一輪の花
題『一』 にて
病床の妻を見舞いヤアと手を 秋風吹けば病葉愛し
題『自由詠』 にて
上書きをしても心に残る君 ダメな私の恋の残り火
題『上』 にて
恋人の影の二つをくっつけて 街路の灯りに霧の舞台
題『町・街』 にて
ここにいてすがって燃えた恋心 そんなあなたにオレはほかされた
題『ここ』 にて
和菓子にて季節を演じ茶の席の 主の心の移ろいを知る
題『和』 にて
くすりゆびわっか落として自由の身 藁人形の丑三つの舞い
題『落』 にて
竜胆の君を夢見し恋日記 花の栞のセピアの過日
題『秋(テーマ詠)』 にて
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