いつまでも子どもなんだね母にすりゃ 帰りにくれたバナナ3本
題『子ども』 にて
はからずも同じ言葉を唐突にハモる夫婦やスーパーの中
題『夫婦』 にて
吹く風が運べなかったものたちで満ちていく海 鈍(にび)色を知る
題『風』 にて
嘘一つつきとおすため 七つ八(や)つ余罪かさねて我を喪う
題『嘘』 にて
君と乗る約束のまま紙の上「さくら」は走る 今ごろ京都
題『さくら』 にて
卒(お)える日はみな善人に見えて花 心の雫洗う歳月
題『卒』 にて
君の字で「返信不要」とあればなお 言葉溢るもしたためはせず
題『返』 にて
君と手をつないでいよう星になる最終列車 ベルが鳴るまで
題『最』 にて
祝福す。 独歩はじめる君に椅子 居場所たしかにここであること
題『椅子』 にて
「冷たいね」 粗雑な愛をうらむ君 立ち止まる春 頬に北風
題『寒・冷』 にて
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