今の世に馬車馬に喩え言う人は 馬の死みたか、言の軽さよ
題『馬』 にて
出足こそ良かったはずの人生は ゴール前にて馬群に沈む
題『馬』 にて
指先で空気切り裂くランナーは 真空の中 一瞬に消ゆ
題『一』 にて
幼な子は手に千歳飴 はじめての紅を嫌がり素のまま写る
題『歳』 にて
深煎りの熱めに淹れたコーヒーにこころ調う 胸深く秋
題『調』 にて
夭折の君が遺した歌集には 「夢」が1字も見つけられない
題『夢』 にて
「天」と書き 「たかし」と名乗る友がいる 不惑の面長 好き嫌いなし
題『天』 にて
「ちくわぶは嫌い?」と君は寂しい目 もうばれている異教徒の僕
題『君・あなた』 にて
夕暮れは思い千切れた校舎裏 心の破片は土に還れよ
題『千』 にて
二死満塁 気楽に打てのサイン出る 笑顔で僕を追い詰める君
題『楽』 にて
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