温々(ぬくぬく)と寝床でためらうあと少し 見よ北向きにジェット機のゆく
題『温・暖』 にて
青鬼の独り身に沁む木枯らしにため息ひとつ泣いた君へと
題『泣』 にて
離別とか、カッコつけては言うけれど 滲む血の味 独りとなれば
題『離』 にて
生まれ日が同じ歌人のプロフィール 触れずとも詠む夭逝の理由(わけ)
題『触』 にて
どこへでも行ける夜なのに 君まだたったひとつを選べずにいる
題『どこ』 にて
優柔なきみの迷いの傍らに ため息いとし 決着は、また。
題『着』 にて
「愛」なんて口にするのがくさかった 母の手 遠ざけていたあの日
題『日』 にて
チョコをして男らの価値換算す この日を呪う学ランの群れ
題『チョコ』 にて
青墨の海 雲重く 神の怒りや 一刻の凪
題『青』 にて
制服で装う意味と苦い汗 暑ければ脱げと 風に諭さる
題『服』 にて
コメントをもっと読み込む