白かったはずの人生いま見れば 時の染みまで風合いとなる
題『時』 にて
この夜は 主君の無念雪(すす)ぐ夜 美談は悲劇 命は重し
題『雪』 にて
人の名は不意に隠れる靄の中 三度覚えて三度忘れる
題『忘』 にて
刈布(かりぬの)の上 灰色の雲みつめ 黄昏てく身 風の吹くまま
題『風』 にて
次々と故障不具合重なって 修理買い換え追われて師走
題『今年あった出来事』 にて
口癖に「やってらんない」繰り返す お前は何もやってないのに
題『のに』 にて
シャッターに貼り紙残し本屋消ゆ 主人の無愛想 偲ばるる秋
題『消』 にて
「本当はね…」今は時効と明かす過去 愉快か君は 笑えやしない
題『本』 にて
君は今日、笑わぬ瞳で俺を撃つ 背中に「サヨナラ」一発で殺れ
題『今』 にて
園庭は 走って逃げて追いかけておどけてこけて泣いて笑って…
題『自由詠』 にて
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