二駅も旅して保護さる飼い犬は奇跡知ったか我に尾を振る
題『犬』 にて
自走する掃除機 我を連れまわす 犬の散歩か 床舐めていく
題『犬』 にて
汗染みたシャツで駆け込む喫茶店 乾かぬままにシャツは冷たく
題『冷』 にて
七夕の短冊、星の笹飾り そうめん湯掻く母の二の腕
題『七夕(テーマ詠)』 にて
耳鳴りのごと気にすれば止めどなく いま騒がしき静寂のなか
題『自由詠』 にて
逃げ水を追う炎天のひとり旅 おのれ呪えど神はうらまず
題『水』 にて
熱くなることを忘れたフィラメント 切れる痛みも知らないけれど
題『暑・熱』 にて
油あがりの春巻かじりハヒフヘホ 汗かくジョッキ 喉鳴らす夏
題『春』 にて
転生の欠片ひとひら胸にあり 知らないはずの路地が懐かし
題『転』 にて
ありふれた日々をたとえば明と暗 どっちでもない場所に棲む僕
題『明』 にて
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