温めた吐息と柔らかい布で塵取れば見えそうな 真実
題『めがね(テーマ詠)』 にて
横見れば目線が胸の高さでも同じ歩幅で進む秋の日
題『歩』 にて
冷えた手で燃えているような額触れ熱を受け取る 学年閉鎖
題『自由詠』 にて
ハ長調みたいな優等生でなく不協和音の波乗り越える
題『調』 にて
穏やかな夢を見て目覚めた朝はテレビに膜がかかって見える
題『夢』 にて
天丼の海老に甘辛のたれ染みて 舌に味昇る通勤電車で
題『天』 にて
呼び捨てが普通だった頃教科書の君付けの文に憧れ抱く
題『君・あなた』 にて
千倍に濃くしたオレンジジュースなら決別する勇気湧く 布団と
題『千』 にて
田舎から送られた新米炊いて湯気まで食べる食卓の沸く
題『幸せ(テーマ詠)』 にて
軽さには縁がないねと呟けば鉛掲げる夫が笑う
題『軽』 にて
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