床でもう目が覚めなくてもこの日をば喜べたかと問うて息吐く
題『もう』 にて
振り返り積み重ねてきた紙を見るように来し方を肯定したくて
題『紙』 にて
沢山の人守る傘となるように降る雨さえも楽しめたなら
題『傘』 にて
両側に寒がる人いる通勤の車内で芽生える仲間意識が
題『自由詠』 にて
早朝の電車で微睡みコールドムーン透けて行くのをうっすらと見る
題『冬(テーマ詠)』 にて
直ちに押せるボタンに囲まれて一日始まる 核四千個
題『ボタン』 にて
車窓流るる夕陽は飾る冬木立ちを僅かな火種を惜しげもせずに
題『夕』 にて
さっきから靴の中の小石が疼く知らぬ振りして大分歩いて
題『中』 にて
輪郭を確かめたくて目を開ける暗い瞼を貫く朝日の
題『確』 にて
会わずとも幸福だった日を訪ね寂しさの手懐け方を聞く
題『会』 にて
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