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題『見』
泣くひとを海が年中受け入れて季節はずれのかなしみはない
「大丈夫ですか」と問われ「大丈夫です」と答えた春の床屋で
目に映るものみな秋に洗はれて影の中まで澄む陽射しかな
旧友に両手を広げおかえりと列車は走るレンゲ畑を
次次と生まれる泡を飽きもせずずっと見ていた夏のサイダー
西日受けやさしく光る芒の穂冷たさ含む風に揺れおり
黄銀杏の栞挟めり恋日記句点ひとつの行間を読む
柔らかくしまっておいたその恋は誰も泣かせず君を見ていた
白鳥と燕は季節を引き連れて地球で遊ぶはないちもんめ
季の花を切ろか残そか愛でようか歌詠み悩む切れ字や切れ句
おでん鍋コンロにかけて盗み酒立ち飲み旨し味見のつまみ
初雪が観測されたこの街を半袖短パンで駆け回る子
さみしさを季節のせいにした挙げ句ホットショコラを奢らせている
井の中の蛙になれずクルクルと短歌の川のおたまじゃくしよ
咲くかしら秋撒く種にわくわくと一年草の恋を楽しむ
暑さにも寒さにも耐え続いてく春の輪廻に出会うよろこび
春景の舞台見据えて言の葉が 季語を従い焚火に集う
季を詠めば短歌の作法の気になって旅の衣にネクタイを締め
すずすずと白い小花で飾りつけ三味線草の春のお茶会
もみじ狩りついでに花の狂い咲き浮世の情の欲を満たして
秋桜を好きと話した本当はあなたが好きと言いたかった秋
凍てついた心とからだ解けだして春の輪廻に出会うよろこび
「桜から付けたの」君の子供にもそんな名前をと祈る、さよなら
粉をふいて化粧直しか軒暖簾揉んで熟柿の嫁入り盛り
歌うほど言葉の壁と語彙の溝季節の咎に綺語を慎み
銀杏の葉色づく季節思い出す 学祭抜け出しキスした君を
秋陰りおやと思えば濡れ葉踏み季移りすれば心も変わり
君逝きし秋が今年も巡りくる銀杏眺めた病室の窓
移ろう季節我だけが置いてけぼり時の流れにたゆたう小舟
君のこと思い出すのはこの季節 学祭抜け出しキスをしたよね
まあだだよ季節を叱る子らの声釣瓶落とされ鬼の戸惑う
ほらあれが季節の境界日の当たる場所から順に染まる山肌
火傷した思い出引きずり秋の虹ぬくもり探し仮装の街へ
上着剥ぐ先の太陽どこへやら北風吹いてボタンを留める
前屈みに風の冷たさつぶやきて口籠もる君はまだ紅葉せぬ
夢破れ 故郷に帰る 秋の暮れ 君を残して 影を残して 243
現代は エゴとエゴとの ぶつけ合い 神の名、騙る 悪魔が笑う 242
許せしは難しきかな 芒光りて空澄みわたり
読書の秋 毎日決めた本を読む 本の奇虫の居所を追い
ダメ出しは誰でもできる先ず誉めよ妻に言われた秋の夕暮れ
週末はイオンモールでなに買おう
めぐる季節に心がおどる
西日うけ真白に光る芒の穂 季節の風がなでて過ぎゆく
人生で 三度目の秋 赤い葉は まあるいお目々に いかに映るか
侘助や茶筅も風情かうす茶点て縁の陽だまり老いの竿頭
秋もこう深まってきて空高く 朝の寒さに露が付く窓
人生の 晩秋迎え 一人きり 金無く、家無く 妻、子供無く