美味しいと孫らは喜ぶはずだから 半日がかりで作る春巻き
題『春』 にて
つまずきて転んで見えた景色には 育てた南瓜の太い蔓たち
題『転』 にて
朝明けのゆったり流れる時間が好き 息子よ水撒き頼んでくれるな
題『明』 にて
学校は休みだよと言う男の子 昔懐かしエイプリルフール
題『嘘(テーマ詠)』 にて
切なさが今も込み上げ嗚咽する 一人で渡る夕暮れの吊り橋
題『橋』 にて
手のひらに横たわる白いメダカたち 生き返らせてと孫の声刺さる
題『手』 にて
「暑いね」とオウム返しする十四歳の 君は歩きたり吾と手を繋ぎて
題『君』 にて
兄家の門に垂れる大きな藤の花 さも誇らしげに映る兄の横顔
題『兄』 にて
蕾のまま倒れた百合を瓶に射す 気遣うように甘い香り
題『気』 にて
息子らの庭の水掛け当番に 優しい木漏れ日 受けて気持ち良し
題『気』 にて
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