ビニール傘から見る主役は黄色い薔薇 脇役の如く雨降りしきる
題『傘』 にて
何よりも夕陽に染まる川見たし 無理でしょ吾は自転車乗れぬから
題『から』 にて
庭の梅青々しく生りジュースにす 初夏は始まり吾だけの時間
題『時』 にて
駅は無い線路だってない町に生く 電車通学したかった娘
題『電車(テーマ詠)』 にて
思わず声出すほどのシャクナゲは 晴天の寺に赤々と佇つ
題『晴』 にて
定刻に鳴いていたのに鶯は恋人連れて 消え去って行く
題『のに』 にて
大福を喰めば幸せになるはずがまた逃げ出しき抜歯の予約日
題『日』 にて
感想文書くのに通った図書館は 歌人に会えし手にするときめき
題『書』 にて
膝病んで初夏のプールで歩こうと ラベンダー色の水着買いたり
題『歩』 にて
朝顔の双葉はぐーんと伸び出して ネット張る腕は上がらず終わり来る
題『自由詠』 にて
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