ここまでに育てし紅きメダカらを 狸に奪われ傷む蒼き鉢
題『まで』 にて
急かされて春風背に受け引いてみる白きとびらのまだ見ぬ教室
題『とびら』 にて
「一番ね」と嬉しく問えば皆も沸く 嘘はつけぬか「二番」とはにかむ
題『嘘』 にて
改札の疾風(はやて)にあおられ立ち止まる吾を抱きしむ若き有楽町
題『風』 にて
待ちわびてようやく咲きし枝垂れ桜 門出の女孫まなざし澄めり
題『自由詠』 にて
亡き姑(はは)の仕込みしジュースは甘酸っぱく老い木に実る梅ひとり見上げ
題『実』 にて
きっかけは愛おしき目と黄緑のメジロに 捕らわる鳥の世界へ
題『鳥』 にて
賑やかに 恋路を語る 昼下がり 待つ夫のなき 家は遠のいて
題『語』 にて
雨上がり道に吸い付く花びらを足にまといて 連れゆく桜よ
題『足』 にて
髪切れば うなじに触れる 春の風 明日へと 向かう 卒業のボブ
題『卒業(テーマ詠)』 にて
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