手のひらを結んで開く私は私のことを見てはいなくて
題『手』 にて
あだ名しか持たなかった頃教科書で知る 君と呼ばれ振り向く淡さを
題『君』 にて
兄いればこんな感じだったのかなとプラタナスの下雨宿りする
題『兄』 にて
梅雨空が空の輪郭覆ってもきっとあるとあの気持ち探してる
題『気』 にて
曇天に拳突き出し青色を掴んで湿気にぶつけたくなる
題『自由詠』 にて
窓開けて受け止めたのは砲丸のような湿気で 酷暑始まる
題『窓』 にて
一指づつ爪整えて支度する前の日の晩 音のみ残して
題『爪』 にて
放物線描いて空をなぞるように透き通る傘を滴が走る
題『傘』 にて
故郷で使っていた箪笥の位置を決めて開ければ新たな匂いで
題『ひとり暮らし(テーマ詠)』 にて
休み増え山にでもなんて言うから予定を無理矢理合わせてしまう
題『でも』 にて
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