黙る吾子の足先揺れる音聴きに暗い炬燵の底へ落ち行く
題『自由詠』 にて
我が身さえままならぬのに回り来るかっぱを遂に救ってしまう
題『寿司』 にて
冬の川に晒した布は真っ白で被って小鳥みたいに泣いた
題『真』 にて
サラダ纏う風で編んだ衣を羽織り春を噂するこたつの上で
題『サラダ』 にて
挑戦を怯ませる不安潰す様に靴の中転がる小石踏む
題『靴』 にて
都幾川に落ちる太陽の際滲み両手で包みたくなる夕暮れ
題『自由詠』 にて
箱庭の森に秘密がある様にとらやの羊羹書棚に隠す
題『箱』 にて
くちびるが乾いて幾度も血が滲む あの傷は癒えたことにしたのに
題『口・くちびる』 にて
幸福を入れる小箱を作ったけど収まらなくていつも散らばる
題『けど』 にて
風のない田の霜柱を起こそうと潮満ちていくように朝日は
題『風』 にて
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