千倍に濃くしたオレンジジュースなら決別する勇気湧く 布団と
題『千』 にて
田舎から送られた新米炊いて湯気まで食べる食卓の沸く
題『幸せ(テーマ詠)』 にて
軽さには縁がないねと呟けば鉛掲げる夫が笑う
題『軽』 にて
こんな日は早く帰って深皿にシチューを盛って湯気に包(くる)まる
題『深』 にて
夜の空仰ぎ見る人の横顔を照らす月明かり指で辿って
題『夜』 にて
いつか見た金時山の青空に金時娘のお下げが踊る
題『時』 にて
こうふくは口福と呼ぶのだったなと 新米に金の卵をのせて
題『口』 にて
金色を見たような気がする夢を思い出せずに稲刈り眺める
題『色』 にて
からだからちからを抜いてからっぽになったところに秋桜生ける
題『から』 にて
次に来る電車でもいい 階段を降りる時膝と会話しながら
題『次』 にて
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