風音を聞きつつ眠りに落ちてゆく荒野を歩む夢を見ながら
題『風』 にて
新年に立てた誓いを思い出す師走の遠い星を見ながら
題『今年あった出来事』 にて
人に見せることはないのに人の目をなぜか気にして書く日記帳
題『のに』 にて
巧妙に都合の悪い過去を消し人は生きている新たな過去を
題『消』 にて
今はすぐ過去となりつつ新年を引き寄せてくる止めようもなく
題『今』 にて
自分でも本当の気持ちが分からずに四方に飛び散る雪の中ゆく
題『本』 にて
喧騒の師走の街の黒々と光る川面に投げた花束
題『自由詠』 にて
世間という学校今日も開校す席を取り合う通勤電車
題『学』 にて
くじ引きのはずれのような毎日を愛おしみつつ年暮れてゆく
題『引』 にて
ここからはもう戻れない道だから笹の葉分けて独り踏み入る
題『もう』 にて
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