くつくつと弱火にかける秋の夜肉豆腐にはねぎをたっぷり
題『肉』 にて
切りに行く結べる長さにしてた髪毛先が風と遊ぶくらいに
題『結』 にて
参道の出店の灯り賑わいにどちらからともなく手をつなぐ
題『店』 にて
日は短くなっているのに一日が豊かに長い実りの食卓
題『秋(テーマ詠)』 にて
上司の手の白い包帯痛々し いつもより少しやさしく接す
題『痛』 にて
右耳の先っちょがない白猫が大あくびしたベンチの日差し
題『ない』 にて
清流も重なる木々も静けさもここにありますここも東京
題『東京(テーマ詠)』 にて
人肌が恋しくなってくる季節燗徳利を棚から下ろす
題『人』 にて
借景のゆっくり朱くなってゆく柿を愛でつつベランダを掃く
題『ゆっくり』 にて
トースターの底蓋開けて焦げ落とす 風が吹き抜け額を撫でる
題『家具or家電を読み込んで』 にて
コメントをもっと読み込む