ランドセル鳴らして抜けた脇の道天神の藪今は小さく
題『天』 にて
棚のすみ広辞苑の中からは紙の写真の十歳の君
題『君・あなた』 にて
託せれば三十一文字に我が思い幾千の言葉連ねなくても
題『千』 にて
家という楽屋に戻り衣装脱ぐ今日も一日中がんばったねと
題『楽』 にて
まだぼくは「サンタクロースを信じてる」大人の夢を壊さぬように
題『信』 にて
電気消し入る布団の冷たきが温まる間のほのかなしあわせ
題『幸せ(テーマ詠)』 にて
風を受け陽射しの中を軽やかに歩きたくなる秋の日の午後
題『軽』 にて
「よかったね」写真に言って夕飯を一品増やすささやかな宵
題『ささやか(テーマ詠)』 にて
木犀の薫りを飛ばす午後の風帽子を目深に被り直して
題『深』 にて
鰯雲あかねに染まり十三夜肩に羽織った上着の温み
題『夜』 にて
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