行き合えば会釈を返すその人は私と同じ休日ランナー
題『返』 にて
うらうらと温もる窓辺最大のあくびした猫背中を伸ばす
題『最』 にて
昨日よりやわらかな朝塀際のなずながそよぎマフラー外す
題『朝』 にて
二十日ぶりのこの地を潤す春雨に応えるように顔出す双葉
題『地』 にて
はちみつと生姜を少し湯に溶かしゆっくり飲めば喉の鎮まる
題『甘いものを読み込んで』 にて
今ならば目を見て言えるしっかりと「ありがとう」って「忘れない」って
題『ありがとう』 にて
窓際に置いた座面の高い椅子猫が飛び乗り空を見つめる
題『椅子』 にて
陽光を浴びて頭をもたげくる雪の重さで伏せた水仙
題『雪』 にて
寒い気を身にまといつつ「ただいま」と靴を脱ぐきみ戸の外は雪
題『寒・冷』 にて
夕暮れにひな祭り過ぎの大粒の雪が隠すは沈丁花の香
題『自由詠』 にて
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