平見翠玉

陽の当たる日々ばかりではない笑顔と相手を思う言葉があれば

一枚の葉書が人を兵隊にし一枚の葉書が英霊にした

地獄と極楽は胸三寸にあり愛は全てを許せること

いつも山が見える暮らしは芳しい家から車から職場から

寂しさを紛らわすため缶チューハイ買う二十歳の頃

毎日は同じことの繰り返しではなく昨日今日違っている

肌のシミ過去に浴びた紫外線のごと消すことはできない

生殖の果たせぬ思い振り払い群青の空仰ぎ見る

川の流れの理りに合わせ或る処まで来たら希望があった

君ではなく影を見ていた引き潮のように思いは醒めてしまった

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